日本人が海外で働くためには、いくつもの壁がある。

(相槌として)「……なんか、まあ、そんな感じですね」

これ、我々の日常会話の中で、フツーによく聞くフレーズだと思うのだが、英語で言うと「……somethig like that」となるであろうか。欧米人にとっては実に曖昧なフレーズであり、これを使うと、相手から「……somethig like ……what?」と聞き返されることが、しばしばあった。

その結果、外国人相手に「あ、うん」の呼吸は有り得ないと悟った。重要な会話などでは、特に「そんな感じですかね〜」などと濁さない方がよい。「そんな感じって、どんな感じなの?」と、真顔で聞き返されるのがオチである。 日本人が外国人と肩を並べて働くためには、いくつもの壁がある。

語学力がぐんぐん上達する人の特徴 7パターン

コミュニケーションの壁就労ビザの壁メンタルの壁文化の壁などがそうだ。

こう書くと、海外就職とは実に敷居の高いことのように感じる人も少なくないと思うが、決してそんな事はない。

人は慣れる生き物であるから、こういった壁のほとんどは、海外に行けば、おのずとドンドン低くなる。また『コミュニケーションの壁=語学力の壁』と捉えがちだが、それもちょっと違うとわたしは思う。我々、日本人の勤勉さも手伝ってか、とかくTOEICやらTOEFLやらSAT、他にも色々と語学力を評価する国際的な試験はあるのだが、まずはそういったテストで高得点を狙おうとする方々も多いと聞く。

これらの勉強は、やればやる程ズレていき、はっきり言って時間の無駄である。

まず、こういった試験に出てくる単語は日常会話では使わない。

下手すりゃ、現地の外国人ですら知らない単語テンコ盛りで、逆に意味を聞かれる始末である。さらには高得点を弾き出せば出す程、おそらく語学に対しての恐怖心も増すんじゃないかと思う。なんでもそうだが、机上の空論よりは現場での経験が大切であり、知識と知恵は全然違う

巧みに会話を切り返す技や知恵は、どんなに試験で知識を磨いても身に付かない。キャッチボールが出来るようになるには、練習するしかないのと同じで、言葉のキャッチボールは相手があってこそ、成り立つ。

メンタルの壁と同様、コミュニケーションの壁を取り払う鍵は、「まあ、なんとかなるっしょ」という前提での実践の積み重ねで、こういった精神があるのとないのとでは、海外生活において、雲泥の差が出るように思う。すなわち、毎日が失敗の連続と言っても過言ではない中で、いちいち「間違えた、通じなかった」と、落ち込んでいては身が持たない。ある程度の準備が出来たら、あとは恐れず、まずは現場に飛び込んでみるのが一番早い。案外、どうにかなってしまうモンなんである。