最近、日本における男性の育児休暇を取得する割合が、年々増加傾向にあると聞いたことがある。巷の女性誌では『今月のイクメン』などという特集も組まれたりして、もはや『家事も育児も奥さん任せ』な時代は終わりつつあるのかもしれない。これからの日本でも女性だけでなく男性が積極的に育児への参加をしていかないといけなくなるのだと思います。

私が住んでいたアメリカでは、共働きが主流の国なので、育児休暇を取得するのは当然である。奥さんの休暇をマタニティリーブ、ダンナさんの休暇をファミリーリーブと呼び、そして皆、当たり前のように申請している。また会社側も当たり前のように許可をしている。

3人に2人が休まない!日本と大きく違うアメリカの「産休」事情

ちなみにマタニティリーブは文字通り、妊娠、出産、子育てのための育児休暇だが、ファミリーリーブに関しては育児以外の理由、例えば家庭内での諸事情などが理由であっても、休暇申請することが可能であり、育児休暇である約6週間のお休み期間中、全額ではないが給料を保障してもらうことが可能である。

アメリカでの就職中、もしも妊娠した場合には、ぜひともこういった制度を利用するべきだろう。基本的にアメリカには少子化問題はないので、地方自治体や政府による出産育児給付金的制度はないものと心得ておいた方がよい。だから有給の育児休暇を取得するのはとても大事である。

それから、アメリカでは小さな子供を一人で留守番させておくのは犯罪であり、バレたら親は即ジェイル行きである。なので出産後、マタニティリーブを経て、職場復帰をする場合、必ずベビーシッターさんを雇うなり、デイケアセンターに預けるなどする必要があることを忘れてはいけないのである。

広大なアメリカでは、子供だけでの留守番オーケーな年齢は州によって違うのだが、とにかく子供が小さいうちの夫婦共働きに関しては、この子供ケアのために月々10万円近くは出費として出ていくと覚悟しておいた方が良さそうである。さらに私立の小学校に通わせたいなど、スクールバスの路線外のエリアに通学させるとなると、安全上の理由から親の送り迎えが義務付けられるケースがほとんどで、母親が働いている場合、夫婦の連携プレーが必要となる。

日本を含め、仕事をしながらの子育てが多忙を極めるのは万国共通なのだが、「普段は忙しいから、子供が寝ている隙に、ちょっと近所のスーパーまでお買い物!」は、アメリカでは「バレたらジェイル行き」と心得ておこう。

日本のように、例えば『新社会人は4月から一斉に入社』的な習慣のないアメリカでは、就職に関し、常に門扉が開いている状態と言える。

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現地の大学を卒業するにあたり、面接のためのクラスを受講し、『面接の心得』なるものを講師からレクチャーしてもらったことがある。クラスの内容は面接までの手順レジュメ(履歴書)の書き方実際の面接ですべき事、面接後のフォローアップ等々……。

ざっとご説明すると、

①インターネット等で社員募集中という会社を探す。

②担当者を確認する。(名前だけでなく性別の確認も)

③面接の日取りを設定

④面接の前日までに必ず確認のメールなり電話を入れる。

これらはいたってオーソドックスな内容なのだが、ここで一つ重要なのが、担当者の性別の確認である。

英文の手紙などのレターヘッド等によくある『To whom it may concern』の一文、直訳すると『関係者各位様へ』となるだろうか、これだとスルーされやすく、やはりピンポイントで相手の担当者名を入れるべきというのは日本と同じ。

ただ、ここで日本と大きく異なるのは相手の性別が名前だけでは判断しにくい場合がある、ということで、これはある意味、死活問題に繋がったりもする(少し大袈裟だけど)。

以前、こんな事があった。かなり興味のあった会社が社員募集中で、担当者名も書いてあったので、早速レジュメを送ってみた。

ところが後日、担当者から怒りの電話を受け取るハメに……。

先方曰く「私はMr.ではありませんから!!」というワケで、勢いよく電話を切られてしまった。これ以降、この会社に連絡する勇気も失せてしまった。かなり興味のあった会社なだけに、理由が理由で連絡しづらくなってしまい、(やってしまった……)感が拭えず、しばらく凹んだのを覚えている。

それ以来、自分で電話し、まずは性別を確認する事を心掛けるようになった。担当者の声を聞けば、さすがに間違えることもないからだ。メアリーとかジムとか、分かりやすい名前なら必要ないのだが、人種の多い海外では、名前だけで性別を判断するのは危険である。

おそらく、相手からしても、我々日本人の名前は男女の判断がしにくいに違いなく、『様』を付ければ男も女も関係のない日本では、ある意味、盲点な失敗であった。  その他、レターヘッドやレジュメの書き方に関しては、日本のコンビニで売っている履歴書セットのような便利グッズはアメリカにはない。ビジネス書の書き方的な本やネットを参考に、自分で作成することになる。ある意味、人それぞれな履歴書になるのだが、やはり書き方には最低限のルールがあり、会社名や担当者名を入れる場所、文面の最後には『Sincerely yours』と自分のサインを忘れるなかれ等々……。まずはルールに沿ったお手製の履歴書作りが、就職への第一歩と言えよう。

海外で就職するには、当然の事ながらワーキングビザ(就労ビザ)がいる。

その取得方法はいくつかあるが、例えばアメリカの場合、現地の大学に通っている留学生の身であれば、卒業と同時に取得できるBA(Bachelor of Arts)を利用するのが一般的だろう。BAとは『日本の四年制大学卒に相当する』とされる資格で、これさえあれば、卒業後、1年間は合法で働く事の可能なプラクティカル・トレーニングビザ(研修ビザ)が自動的に降りる。(ただし短期大学や専門学校では、たとえ全てのカリキュラムを終了したとしても、このビザは降りないので注意が必要だ。)

アメリカ・ビザの種類と基礎知識|Lighthouse

ビザの有効期限は一年間で、名目も『トレーニング(研修)用のビザ』であるから、この1年の間に会社に掛け合い、研修中の立場から一般就職の立場へとステップアップが必要だ。これには会社がスポンサーになることで申請出来るワーキングビザを取得するのが手っ取り早い。

人によっては、この時点でグリーンカード(永住権)の申請に乗り出す人もいるようだが、グリーンカード取得に、どのくらいの期間を要するかは、ある意味、運任せである。

わたしの周囲では抽選で当たったというラッキーな人や、1~2年で取得できたという人もいるが、5年以上待ったというケースが何件かあり、そういった取得期間の差は謎である。現地の弁護士に聞いても、明確な解答は得られなかったと記憶している。

グリーンカード専門の弁護士に大枚はたけば手続きが早くなるとか、会社の規模が大きければ早いとか、国籍がどうとか、そういう問題でもないとの事で、いつ取得出来るか分からないグリーンカードだけに頼るよりは、会社を通して、先ずはワーキングビザの申請を始めてしまうのが懸命である。

その後、改めてグリーンカードの手続きも始めておけば「ワーキングビザが失効するんで国に帰ります、さようなら」とならずに済む。

ちなみに、このワーキングビザの有効期限は三年間で、有効期限が切れると次に更新する、新たなワーキングビザの有効期限は同じく三年間、よって最初のプラクティカル・トレーニングビザの有効期限の一年間と合わせて、合計七年間は合法で就職が可能である。

二度目のワーキングビザが切れたとしても、グリーンカード、すなわち『永住権』を取得していれば、何の問題もなく、そのまま半永久的に仕事を続けることが可能なので、長くアメリカで働きたいと思ったら、ワーキングビザを取得後、グリーンカード取得へと行動を起こすことをオススメする